「おじいちゃんの入院・入所が決まったけどあったほうが良い物ってなんだろう?」
「入院・入所すると認知症になったり認知症が進むのが心配」
「寝たきりになって動けなくならないか不安」
高齢者の方の入院・入所が決まると、このような不安を持つご家族はおられると思います。
コロナの影響で直接の面会が制限されてしまうため尚更心配。
本記事では、必須ではないものの、高齢者が入院中の便利・暇つぶしグッズをリハビリ専門家である理学療法士の視点から紹介します。
この記事を読むことで解決できること・・・
- 高齢者が入院中に必須とはいえないものの「あったほうが良い物」がわかるようになる
入院中の高齢者に便利・暇つぶしグッズがあったほうが良い理由

高齢者が入院中に便利・暇つぶしグッズがあったほうが良い理由をリハビリテーションの専門家である理学療法士の視点から解説します。
入院中の高齢者に便利・暇つぶしグッズがあったほうが良い理由①認知症発症および認知症進行予防
高齢者が入院すると、一番心配になるのが「認知症」です。
数日の入院にもかかわらず入院前と比べて、
「何度も同じ事を話す」「つじつまが合わないことを呟く」などの変化があったという家族の話もよく聞きます。
実は、高齢者の入院は認知機能を低下させる可能性があるのです。
その主な原因は環境の変化にあります。
高齢者は新たな情報への順応が鈍るため、新しい環境に慣れにくくなるのです。それが、人によってストレスの原因となります。
ストレスが引き金になり「せん妄」を発症する可能性が高くなります。
「せん妄」は身体疾患や薬、ストレスの影響で一時的に認知機能の低下が起こることです。
周囲の状況がわからなくなり、幻覚や妄想などの症状をきたします。
この「せん妄」ですが、一説には入院中高齢者の「40~67%」に起こると言われているのです。
せん妄や認知低下を予防するには
「外から刺激を入れる」
「物事を考える」
「手先を使う」
などが有効です。
これらを前提にグッズを用意することが重要です。
入院中の高齢者に便利・暇つぶしグッズがあったほうが良い理由②体力低下予防
認知症と同じ位心配になるのが体力の低下です。
入院目的によっても違うのですが、手術などで寝ている時間が長くなってしまうと体力が落ちていってしまい、歩くことができなくなってしまいます。
いろいろなデータがありますが、まったく動かない場合は1日1~2%程度の筋肉量が減っていってしまうと言われているのです。
体力が落ちるようなリスクのある人には主治医がリハビリ処方を出すことがほとんどですが、
病院によってはリハビリがない病院もあります。
自分で体を鍛えて体力低下を予防することが重要です。
入院中の高齢者に便利・暇つぶしグッズがあったほうが良い理由③活気低下予防
認知低下や体力低下に加えて、活気低下もよく起こります。
活気低下=元気がない、というイメージですね。
活気低下は、認知機能や体力低下の結果起こりますし、
反対に活気低下が認知機能や体力低下を引き起こすこともあります。
活気低下は、環境変化の影響を受けてしまいます。
自分から動こうとする元気がなくなると、
認知や体力が落ちてしまうので注意が必用ですね。
入院中の高齢者に便利・暇つぶしグッズがあったほうが良い理由④生活を楽にできる
手術をした後など、痛みのせいで自力で物を取ろうとすることができなくなります。
そのような時ナースコールを押して看護師さんに物を取ってもらったりするのですが、
人によっては気を使ってしまい看護師さんにお願いすることに申し訳なさを感じる人がいます。
そのようなことを防ぐために、便利グッズを用意しておくと、気が楽になる人が多いようです。
入院中の高齢者への便利・暇つぶしグッズを選ぶポイント

入院中の高齢者向け便利・暇つぶしグッズを選ぶポイントはあるのでしょうか?
ここでは、どのような基準で選んだほうが良いかを解説していきます。
もともと一人で身の回りのことを出来るか
入院前から生活を一人で行える人は「自立」できていると判断できます。
そのような人は、入院前の認知能力や体力が維持できるような物を持っていくようにしましょう。
自分の手や足を使える物ですね。
反対に、もともと一定の介助がなければ体を動かせない人、手術後に痛みのせいで寝たきりを余儀なくされる可能性のある人(侵襲の大きい手術)は横になる時間が長くなることが予想できます。
そのような人には寝たままで利用できる物、例えばラジオや携帯音楽プレーヤーを用意するなどの工夫が必要です。
また、体を動かすことが不自由になることを想定して生活の介助をできる物を持っていくと良いでしょう。
視力は衰えていないか
視力低下がある人の場合、病室で本を読んだりDVD作品を観たりすることが難しい場合もあるので注意が必要です。
各ベッドには明かりがあることが普通ですが、あまり明るくない場合も多いです。
また、視力が低い人は目が疲れ易い場合も多いですから目をたくさん使わなくても良い物があっても良いかもしれません。
音楽やラジオを楽しめると良いでしょう。
本人の趣味・嗜好に合うか
本人の趣味や嗜好に合う物を用意したほうが良いでしょう。
好きなことのほうが活気も出ますし、気が紛れると思います。
また、せん妄になってしまっても、入院前に慣れたことをした方がリカバリーも早いです。
特に認知低下を防ぐ効果があるでしょう。
入院中の高齢者に便利・暇つぶしのおすすめグッズ

それでは実際に便利・暇つぶしに有用なグッズを解説していきます。
- 入院中の高齢者に便利・暇つぶしのおすすめグッズ①小物
- 入院中の高齢者に便利・暇つぶしのおすすめグッズ②暇つぶしになる物
- 入院中の高齢者に便利・暇つぶしのおすすめグッズ③食品
入院中の高齢者に便利・暇つぶしのおすすめグッズ①小物
入院生活が快適になるものをメインに取りあげています。
リーチャー
リーチャーは高齢者の入院生活にはあったほうが良いです。
入院前は自力で生活できている人でも、入院中は手術や投薬で体調が優れないときがあります。
そんな時、あまり体を動かさずに消灯台の上にある物を取ったり、靴を取ったりするのにリーチャーは活躍します。
リーチャーがなくても体を動かして腕を伸ばして取れば良いのですが、思った以上に大変なのです。
その意味でリーチャーはとても便利なグッズといえます。
リーチャーはピンからキリまであるのですが、長さが70cm程度のもののほうがより遠くの物も掴めますので便利です。
退院後、自宅でも利用できる物ですから、入院を期に購入してみてはいかがでしょうか。
靴べら
靴べらもあると便利です。
リーチャーと同様に、一時的に体力が弱ってしまっている時には重宝します。
体調が悪い時に体を屈むという動作はかなりキツいものです。
また、足を組んで靴を履くという動作も場合によっては大変です。
靴べらを使えると体を屈んだり足を組む必要がなくなるので楽に靴を履けます。
入院中、靴を履くシーンは意外と多いです。
トイレに行く時、検査を受けに行く時、散歩に行く時、買い物に行く時などですね。
キツい姿勢で履くことは体に負担をきたしますから、負担を少なくするためにも靴べらはあると良いでしょう。
ちなみに100円ショップの靴べらもあるのですが、壊れやすいので数日の短期間入院ならオススメですが、長期の場合はしっかりした靴べらを用意したほうが良いでしょう。
耳栓
4人部屋などの場合、周りの音が気になる高齢者もいるようです。
同室者のイビキや独り言などが気になって眠れないという話をよく聞きます。
また、場合によっては術後の患者さんと同室になることもあり、
心電図モニターのアラーム音や頻繁なナースコールなど音に悩まされることも。
夜間に良い睡眠が取れないと、昼夜逆転してしまい認知低下のリスクが高まってしまいます。
それを防ぐには、音を遮断する道具として耳栓を用意しておいたほうがよいです。
かなり柔らかい設計です。小さくしてねじって耳の穴に押し込み易いです。
また、耳栓によってはずっと着けていると痛みを感じる人がいますが、ソフトなので痛みが出にくいです。
遮音性について、同室者の大きなイビキは小さくなり、ほとんど気にならない程度になります。
耳から取り出すと、形は復元して再び使えます。400円弱でお手頃なのもオススメできるポイントです。
アイマスク
アイマスクもあると良いです。
ほとんどの病院は21時消灯で、高齢者は朝早く起きてベッドの電気を点けて周辺を明るくしている人も多いです。看護師サイドからも注意をするのですが、言うことを聞かない方が時折おられます。
また、術後の患者さんと同室になった場合、その患者さんが自力で動けないとナースコールでトイレを介助したりするのですが、その際に電気を点けることがほとんどです。
明かりを気にしない人なら良いのですが、気になって眠れない人は光をシャットアウトするアイマスクを用意しておきましょう。
シルク100%で着け心地が良いです。光もシャットアウトできますから、光が苦手な方にはオススメできます。
入院中の高齢者でタオルを目の上に乗せて寝ている人がいます。その光景を見る度、院内にアイマスクがあれば良いのにと思います。
カーディガン
基本的に病室は年中一定の気温になるように温度が設定されています。
ただ、人によって「寒い」と感じる人は多いです。
ですが、4人部屋などの場合、自分で空調の温度を設定することはあまりできません。
自宅からカーディガンなど持ってきておくと、体温管理にも良いでしょう。
暖かい靴下
入院の方のリハビリをしていると、足下が冷たい方が多いです。
また、冷たくて夜寝れなかったという人までいます。
冷え性など気になる人は持っていきましょう。
膝掛け
介助が必要な人などは、寝たきりにならないように日中から車椅子に座っていただくことが多いです。
その時、かける物がなく寒がっている方を見かけます。
タオルや布団などを巻いてくれる看護師も多いのですが、そのままになっている人も良くいらっしゃいます。
日中、体力が落ちないように車椅子に座っていることが多いため、カーディガン・靴下と合わせて寒さ対策をしましょう。
ポータブルラジオ
病院ではテレビが無料の施設もありますが、有料の場合がほとんどです。
もったいなからといってテレビを観ない方も大勢おられます。
しかし、実はテレビなどの外界からの刺激は認知症予防に有効なのです。
暇をつぶす+認知症予防のためにはラジオはあったほうが良いでしょう。
ベッド上や床頭台はかさばりますので小さいラジオがオススメです。
イヤホン
4人部屋などでは基本的にイヤホン使用を推奨です。
イヤホンなしでは同室者からのクレームや看護師さんからの注意を受けてしまいます。
院内にコンビニがある病院なら売ってると思いますが、自宅から持っていったほうが良いでしょう。
デジタル時計
病室内には時計がないことがほとんどです。
もしスマートフォンなどを使っていない人は時間がわからなくなってしまいます。
時間がわからないと状況がわからなくなり認知症のリスクが高まります。
自宅にある時計を用意しましょう。
もし持ち運び用がない場合は安価な商品で良いと思いますので購入をオススメします。
トートバック
お風呂や洗面所に行く際、シャンプーなど持ち運びができるバックを持っていたほうが楽ですよ。
荷物をまとめて持っていけるので重宝します。
ビニール袋などでも良い人はそれで良いと思いますが、中が透けて見られるのが嫌な人も多いと思いますから、バックを持っていくようにしましょう。
小銭入れ
病院内での生活では、自動販売機やコンビニで物を買ったり、テレビカードを買ったりすることが多いです。
その場合は小銭入れがあると便利です。
ストロー付きペットボトルキャップ
高齢の方は誤嚥から肺炎を起こすことがかなり多いです。
その理由としては、ちゃんと顎を引かない状態でコップに入った大量の水を流しこむためです。
ストローで飲む場合、吸う量が限られますから誤嚥のリスクが低くなるという知見もあります。
誤嚥防止のためにも、入院前誤嚥が多かった感じる方であれば用意しておくと良いでしょう。
S字フック
病室のベッドには柵が付いています。
その柵にS字フックをぶら下げて袋を掛けている人が多いです。
袋の用途は様々で、痰がらみや鼻水が多い人はベッド下のゴミ箱にゴミが入らないことがあるので、その袋に捨てることが多いです。
また、タオルなどを入れている人もいます。
S字フックはサイズが大きくないと柵をうまく挟めないので注意しましょう。
介護用シューズ
転倒予防のため、スリッパよりもしっかりした靴を用意しましょう。
病院側から用意してくださいと話があると思います。
自宅で履き慣れた靴でも良いです。
滑り止めや軽さなど、専用の靴を用意したい場合は、
有名な介護用シューズです。
入院中、治療などによっては足がむくんでいることもあります。
その場合、いつもよりも少し大きめの足のサイズを用意したほうが良いかもしれません。
後日持っていくこともできますので、看護師に足の状態を確認してから用意しましょう。
入院中の高齢者に便利・暇つぶしのおすすめグッズ②暇つぶしになる物
リハビリ的な視点では認知症予防が一番の目的です。
また、活力が下がらないためにも、退屈が減らせて娯楽として楽しめる物を用意すると良いでしょう。
折り紙やルービックキューブなどありますが、飽きにくく頭を使う、より実用的な物をピックアップしました。
DVD鑑賞
最近、病院勤務していて思うのは、CD・DVDを良く観ている高齢者が増えたということです。
そのような方に話を聞くと、良い暇つぶしになっていると答えられます。
やや画面が小さいのですが、その場合は音楽を楽しむなどにも利用できます。
DVDソフトとしては、
や
など楽しめる物がオススメです。
いろいろなジャンルがあると思いますから好みの物を選びましょう。
クロスワードパズル
パズル系で頭の体操をしている方も多いです。
実際に脳年齢が若返るという研究結果も出ているそうです。
DVDなど、情報を受けることも必要ですが、
自分から考えて頭を使うことも必要です。
簡単過ぎず、少し考えたらできる物としてクロスワードはよいツールです。
編み物
女性の高齢者の方に多いのが編み物です。
もともと裁縫の仕事をしていた方などは特に良いかと思います。
手先を良く使うので認知症予防にも良いでしょう。
読み物
新聞や病院に備えてある書籍を読む人も多いです。
病院によっては書籍は置いていないことがありますから、
自宅から小説などを持っていくと良いです。
ただ、あまり持っていくと荷物が重くなってしまいますので注意が必要ですね。
筋トレグッズ
基本的に体力低下は病棟内を歩いたりすることで防止できるのですが、
ベッド上でもできる筋トレ用品もあります。
足の力だけでなく、手の力も落ちやすいため、しっかり維持できると良いでしょう。
足の運動はいろいろありますが、道具を使う方法は必要なくハーフスクワットやつま先立ちで十分です。
入院中の高齢者に便利・暇つぶしのおすすめグッズ③飲食物
念のため、食品の持ち込み可能か病院側に確認しましょう。
水
意外ですが、入院中は水がとても重要です。
当然病院でも用意してくれますが、まったく足りません。
病室は乾燥もしてますから喉が渇きます。
水を複数本用意しておくことをオススメします。
自宅に用意しておいて、なくなりそうになったら病院に持っていくと良いかなと思います。
ふりかけ
病院食に飽きてしまう方は高齢の方でもいらっしゃいます。
院内の売店でも売っているのですが、意外に人気で売り切れていることもあります。
ふりかけは必需品です。
のど飴
病院内はかなり乾燥してます。
すぐに喉が渇いたり、喉がイガイガすることがあるようです。
のど飴は重宝しますよ。
*飲食品については、医療側による体調管理から持ち込みに制限を設けている食べ物も多いです。
かならず確認をしましょう。
入院中の高齢者への便利・暇つぶしグッズ紹介!【リハビリ専門家の視点から】のまとめ

いかがでしたか。
必要な物は人によって違うと思いますが、上記で挙げた物が「あったほうが良い物」に該当するかと思います。
リハビリ的な視点から選ぶとすれば、
・体が辛い時にあると楽に生活ができる物、
・認知症が進まないようにできる物、
・活気が下がらない物
になるかと思います。
今回挙げた物を必要に応じて用意していただけると、入院生活は快適な状況に近づくと思います。
また、今回のテーマとズレますが、念のため「入院に必須な物」も以下に挙げておきます。
- 診察券・保険証
- お薬手帳
- 衣類、パジャマや下着・靴下など(病院によっては、病衣は有料レンタル有り)
- 洗面用具(歯ブラシ・歯磨き粉・歯磨き用コップ)
- 義歯ケース・義歯洗浄剤・ポリグリップ
- シャンプーとリンス、クシ
- タオル類3種(手ぬぐい・フェイスタオル・バスタオル)
- 履物(歩行がおぼつかない方は安全に配慮したスニーカー)
- 水筒もしくは飲み物カップ
- 箸・スプーン
- 筆記用具・付箋(ちょっとした伝言に便利)
- 箱ティシュ
- 小銭
- スマホや携帯電話(コロナになり簡単に面会ができなくなりました。連絡手段としてあるべきです)
誰もが、いつ病院のお世話になるかわかりません。
前もって準備しておき、急な入院にも安心して対応できるようにしておきましょう。
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