2023年2月16日、広島市教育委員会は2023年度、市立の全小中学、高校の平和教育プログラムを初めて見直すという報道がありました。
具体的には、小学3年向けの新教材でこれまで採用されていた漫画「はだしのげん」を削除し別のものに差し替えるとしました。
なぜ削除する必要があったのでしょうか?
本記事では、はだしのゲンが教材から削除された理由と代わりの題材についてまとめました。
はだしのゲンはなぜ平和教材から削除されたの?代わりの絵本ってどんな内容?
なぜはだしのゲンは平和教材から削除されたのでしょうか?
はだしのゲンと言えば小学校の図書館には必ず置いてあって、小学生たちに平和の大切さと戦争の悲惨さ・トラウマを植え付ける存在であったと思います。
何があったのでしょうか?
「漫画の一部を教材としているため、被爆の実態に迫りにくい」
削除の理由ですが、「漫画の一部を教材としているため、被爆の実態に迫りにくい」というものでした。
確かに現在の価値観とは大きく乖離している場面のあったことは覚えていますが・・・具体的にはどんなシーンを抜粋していたかというと・・・
・家計を助けようと路上で浪曲を歌って小銭を稼ぐ
・栄養不足で体調を崩した母親に食べさせるために池のコイを盗む
・家屋の下敷きになった父親がゲンに逃げるよう迫る場面
このようなシーンを使って学習を進めていたそうです。
これらのシーンを使った理由としては、被爆前後の広島でたくましく生きる少年の姿を通じて家族の絆と原爆の非人道性を伝える狙いがありました。
「被爆の実態」という言葉が何を指しているか曖昧なため、なぜ「はだしのゲン」がダメなのか良くわかりませんね。
では、差し替えられた「被爆の実態」に迫っているであろう絵本はどのような内容なのでしょうか?
絵本「いわたくんちのおばあちゃん」
「いわたくんちのおばあちゃん」は、原爆で家族5人を失った広島市中区十日市町の綿岡智津子さん(80)の家族写真に込める思いを題材にした絵本です。
絵柄がソフトでありながら、被爆した方の体験について深く考えさせられる内容になっています。
大人が見ても心に刺さる内容になっており、戦争の悲惨さが十二分に伝わってきます。
ただ、はだしのゲンの記載されていたシーンと比べると当時の負の部分が少なく、また、より被爆の実態に迫っているかというとそうでもないという印象です。
負の部分というのは、
・戦後、治安悪化による犯罪増加
・被爆者の親族を気持ち悪いと遠ざける家族
・生きるために身体を売って生活する女性
などです。
現代のコンプライアンスに合わせた結果削除?
つまり、「はだしのゲン」のほうがやや暴力的な表現や内容でコンプライアンスに抵触するような部分が多いため、それが原因で差し替えられたのではないでしょうか?
結局、大人が都合の良い解釈をして削除したということなのかもしれません。
ちなみに、はだしのゲンは世界での知名度が高く、これまで核兵器禁止条約の成立に貢献しノーベル平和賞を受賞した国際NGO核兵器廃絶国際キャンペーンの映像などにも取り入れられてきたそうです。
実績もある漫画だけに削除されるのはどうかなと思います。
SNSでは・・・
はだしのゲンを読み、戦争に対して自主的に学び始めた人もいるようです。Twitterでは、なぜ削除するのか疑問に思う呟きが多数を占めていました。
まとめ
本記事では、はだしのゲンが教材から削除された理由と代わりの題材についてまとめました。
漫画「はだしのゲン」、絵本「いわたくんちのおばあちゃん」どちらも戦争の悲惨さを学ぶには必要な教材だと思います。
体験を比較するという意味で、どちらも引用文献として使用させてもらえば良いのだと思います。
世界情勢が不安定になりつつ今こそ、はだしのゲンのように当時の正負を表現している作品が必要なのではないでしょうか。
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