理学療法士の退職金っていくらもらえるのでしょうか?あなたは自分が働いている職場に退職金制度があるかどうか知っていますか?
退職金はこれからの生活を考える上で非常に重要な要素だと思います。
なぜかというと、「老後2000万円問題」や「国民年金受給額減少」があるからですね。
「老後2000万円問題」とは、金融庁により「老後の30年間で約2,000万円が不足する」と説明された問題です。
計算してみるとかなりざっくりで個人でまったく異なることがわかりますが、一つの目安として捉えておいても良いかもしれません。
また、わたしたちが定年を迎える頃には「国民年金受給額」が減り、もらえない可能性すらあります。
そのようなことから考えると、退職金を意識することは老後の生活を考える上で重要なことだと思いませんか?
この記事では、理学療法士というリハビリ資格は退職金がいくらもらえるのかを解説していきます。
もしあなたが「退職金は1000万程度もらえるかな?」と考えているならば注意が必要です。
一般的な退職金の相場は?退職金制度がない医療機関も多い

厚生労働省の『平成30年就労条件総合調査』によると、一般企業における退職金の平均額は1800万円程度となっています。
また、企業規模の大きさに比例して退職金は増えていく傾向があり、学校を卒業して30年間同じ会社を勤めた場合は大企業では1600万円程度、中小企業で800万円程度と言われているようです。あくまで平均ですが。
では理学療法士の退職金はいくらでしょうか?
結論は、大多数の病院や施設に30年以上勤めて「300万円程度」です。え?少なくない?と思った人もいると思います。ですが事実です。そのような職場が多いですよ。
ただ、公務員病院などでは1500万を超えます。
つまり職場によって異なるということになります。
このような違いが出るのは、退職金の給付は全ての企業に法律で義務付けられておらず制度の導入や金額・支払い方法については各企業が決めてよいことになっているからです。
また、一般企業で退職金制度を設けている会社は80%あるのに対して医療業界では50%以下と言われています。
つまり、理学療法士が務める施設のうち2施設に1施設は退職金がない可能性があるということですね。
私の父親は公務員で退職金の積み立て額を見たことがあります。学校を卒業してから数十年のものなので、なかなか積み上がっていて「結構もらえるな」と思ったことがあります。その時の私は、仕事をしていれば退職金は誰もがもらえるものなんだと考えていました。
ところが、一般企業でも5社に1社はもらえず、医療業界にいたっては2施設に1施設です。退職金は皆がもらえると思い込んでいた私にとっては衝撃的な話です。
まだ年齢が若いうちは退職金のイメージが湧きにくいかもしれませんが…
結婚して式を挙げ子どもができて家や車を買い、教育費や親の介護、時には自分の医療費など出費はどんどん重なっていくでしょう。また、経済は今後もしばらく停滞するでしょうから収入が劇的に上がることは考えにくいです。
そのようなことから、できるだけ若い時から老後の生活に備えた行動を取っていくことが重要になるかと思います。
退職金は業務をこなしていれば自動的に積み立てられていくものです。できるだけ多くの退職金をもらえる職場に入職するようにしましょう。
もし、あなたの職場が退職金が出ない、あるいは少ない職場であるなら転職も検討に入れても良いかもしれません。
退職金はどのようにして計算されるのか?

退職金は一体どのように計算されるのでしょうか?
以下、一般的な退職金の算定方法です。
- 基本給×勤続年数
- 基本給×勤続年数×給付率
- 勤続年数×固定金
1.基本給×勤続年数
最も単純な計算方法になります。基本給が20万で10年勤続年数がある場合は200万になります。あまりこの方法を採用している法人はないかなと思います。
2.基本給×勤続年数×給付率
国内においてほとんどの法人が採用している計算式になるかと思います。給付率とは、会社側が退職金の計算に定めた係数のことです。基本給20万で10年勤務した場合は20万×10年×0.6=120万という計算になります。自己都合退職の場合は係数0.6になることが多いですね。会社都合(倒産など)ではそれよりも多くなることがほとんどです。
3.勤続年数×固定金
固定金とは法人側があらかじめ定めている金額のことです。法人毎に違いますので確認したほうが良いでしょう。固定金10万で10年勤務した場合は100万ですね。
いろいろありますが、法人によってどの算定方法を取り入れているか異なるので、もらえる金額に違いが出てきます。
どの方法で計算しているかは法人毎の「退職金規定」に定められています。
規定には支給の条件、勤続年数の定義、退職理由による退職金額の違いなどが明記されているはずです。
勤務している職場の就業規則にあるはずですので、退職金の金額が気になるようでしたら調べてみることをオススメします。
退職金が高い職場・低い職場は?
職場によって退職金の高い低いは存在します。
では、退職金が高い傾向の職場はどのようなところでしょうか?
一般的に退職金が高い職場は以下になります。
- 国公立病院や公的病院、大学病院
- 有料老人ホームや介護施設
- 大手総合病院や企業立病院
これを見ると、公務員病院はもちろん、全国に展開している系列病院だったり3次救急の病床数の多いマンモス病院だったりが退職金が多い傾向にあります。また、営利色を出している企業病院も、退職金を多くもらえることが多いです。もちろん、全てではないで注意が必要ですよ。
私が以前勤務していた公務員病院では、学校卒業から定年まで勤務していた人は2000万を超える退職金をもらっていました。うらやましいですね(笑)。
私が退職した時は…5年で退職しましたが、約60万程度だったと思います。医療系として考えると結構もらえましたね。
少し意外なのが有料老人ホームや介護施設なのですが、高級な有料老人ホームなどは退職金を高く設定しているようです。退職金を高く設定して求職者を募る目的もあるのかもしれません。
では反対に退職金が低い職場はどのようなところなのでしょうか?
一般的に退職金が低い職場は以下になります。
- クリニック
それはクリニックです。退職金が高い職場と比較してほしいのですが、クリニックはほとんどが個人が経営している施設になります。
経営母体が大きな法人ではないため、資本自体が小さいのでしょう。
資本金が少なければ固定費算出しずらいため仕方ないことかもしれません。
もしあなたが転職を考えていて、退職金もたくさんもらえる職場に行きたいということであれば、規模の大きい病院か、系列病院、公務員病院、企業立病院、高給有料老人ホームなどの施設が狙い目です。
公務員病院を勤続5年で退職した理学療法士の退職金は?
ちなみに、私は学校を卒業してから5年間公務員病院に勤務してました。細かくいうと60ヵ月在籍し、自己都合で退職した私の退職金の額は「60万」程度でした。
医療業界の中ではなかなかの金額だと思います。
もしあなたが公務員病院や公的病院、あるいは大学病院にいて転職したいと考えているなら、退職金の観点からいうと可能なら留まったほうが良いと思います。
退職金は在籍年数が長くなっていくほどもらえる金額が上がっていきますから、短期間で退職するともったいないですよ。
私は5年という短期間で退職してしまいましたが、今考えればもったいないことをしたと思います。退職金以外の福利厚生も良いし手当もたくさん出ますし。
60ヶ月で60万程度でしたが、ここから10年20年と在籍していくと急激に掛け率が高まりもらえる金額が上がっていくシステムになってます。
公務員系の病院は本当に優遇されていますね。
就職・転職時に退職金がどのくらいあるかを確認
理学療法士が勤める施設の2つに1つは退職金がありません。
そのため、必ず入職する前に退職金があるかどうかの確認と、できればその計算方法も確認できると良いでしょう。
計算方法によっては30年勤務したとしても退職金に差がでることもあります。
ただ、職場見学などで退職金のことを聞くのはかなり勇気が必要だと思います。先方から説明してくれることもありますが、そんな丁寧な職場はほとんどありません。
お金にうるさい人と思われるんじゃないかと考えてなかなか聞けませんよね。
ではどうしたら良いかというと「転職サイト」を利用すると良いでしょう。
転職サイトのアドバイザーにあらかじめ「退職金が1000万もらえるような職場が第一条件」などと条件を指定しておくと良いです。
アドバイザーはそれに準じて、条件に近い職場の求人情報を探してきてくれます。
また、面接試験や病院見学に同伴するサービスがある転職サイトもあります。
同伴する担当者が退職金についての質問をしてくれたりもしてくれますよ。
私は退職金ではないですが、昇給額について聞いてもらいました。
退職金に対する対策は?
今勤務している職場に退職金はありますか?また、あったとしても額は少なくないですか?
一昔前の日本では例えば住宅ローンの一部の返済を豊富にあった退職金で賄ったりしていたみたいですね。
ですが、現在は日本全体が不況であり賃金が上がらず物価のみが上がりつつあります。これからもそんな状況が続くと思われる中で老後資金をどう工面するか考えていかなければいけません。
まずは、退職金が多くもらえる職場を検討しましょう。
それと同時に、「お金」に対する勉強もしていくべきかなと思います。
私はもともと経理を学んでおり簿記や会計の知識を少なからずもってます。そんな私が感じることは、理学療法士はマネーリテラシーが低い人が多いと思います。
財務諸表って何?という人もいる位です。
老後も、お金がないと後悔せずに健やかに生活していくために理学療法士はマネーリテラシーを高める選択をするべきだと思います。
では、どうすれば良いのでしょうか?
- 退職金が多い職場に転職
- 退職金がなくても給与が高い職場に転職
- お金について勉強をする
退職金が多い職場に転職
退職金が多い職場に転職することを考えましょう。
具体的には国公立病院や公的病院、大学病院有料老人ホームや介護施設大手総合病院や企業立病院になります。
私の経験からすると、公務員病院と公的病院(公務員ではないが公務員に準ずる)は概ね同じか公的病院が少し少ないかという額になるかと思います。どちらを辞めるときも60ヶ月で60万程度の退職金でした。
他の一般施設で30年働いても300万程度の退職金の場合もあるので、どれだけ公務員病院、公的病院の福利厚生が充実しているかがわかります。
どこなら入りやすいでしょうか。
倍率で考えるなら国立病院機構やJCHOがオススメですね。試験も難しくなく入りやすいです。人が集まりにくく、「○次募集」まですることが多いです。また、どちらも夏くらいから1次募集を開始していくことが多いと思います。
福利厚生や条件が良いのになぜ人気がないかというと「転勤」があるからです。
ただ、転勤する人は自分で希望を出す人か役職付きになりたい人、あるいは素行に問題がある人で、実際は転勤はほとんどないですよ。
役職つきを狙う場合、いろいろな病院で経験を積ませて法人の中枢を担う人材を育成する目的から転勤を繰り返すことになります。
私の知り合いの技師主任も役職を狙っていたため経験年数15年目程度で3~4回転勤してました。
ちなみに素行に問題がある場合とは、読んで字の如く職場内で問題を起こしてしまった人です。こういう人は系列病院のどこかに転勤させられます。
転勤歓迎の人で多くの退職金が欲しい人は国立病院機構かJCHOが良いと思います。他の施設も良いと思いますが倍率は高いでしょう。市立や県立などは転勤がないのでオススメではありますが。
ただ、経営が傾きつつある市立や県立病院はJADECOM(公益社団法人地域医療振興協会)などに買われたりしつつあるので退職金になにかしらの影響があるか心配ではあります(公益化したらもらえる退職金の金額は下がる可能性があるでしょう)。
また、最近では私立病院や訪問リハでも退職金を多めに設定している病院も見かけます。もしそのような病院を探しているようなら「転職サイト」を利用すると良いでしょう。
先ほども解説しましたが、「お金」に関係する内容の話は病院見学などでも聞きにくい点だと思います。
あらかじめ転職アドバイザーに退職金が多い職場について相談しておくと良いでしょう。
どの転職サイトでも対応してくれます。無料です。オススメはコチラ↓
退職金がなくても給与が高い職場に転職
退職金がない、あるいは少なく設定されていたとしても、その分月給が高ければ問題ないかもしれないですね。
例えば、年収が350万で退職金ありの職場で30年働いて300万の退職金をもらった人と、年収が500万で退職金なしの職場で30年働いた人がいたとします。
350万×30年+300万(退職金)=1350万
500万×30年=1500万
差は150万です。
退職金が出ない職場でも年収が高ければ、生涯年収ベースなら退職金分を賄えますね。
そのため、退職金が設定されていなくても給与が高い職場に行くという手もありかなと思います。ですが、その場合は昇給率なども考慮したほうが良いですね。
この場合も「転職サイト」の利用を検討しましょう。
1番問題なのは給与も低くて退職金もほとんど出ない場合です。
この場合はどうしたら良いのでしょうか?
お金について勉強をする
給与も低くて昇給率も悪く、退職金もないか少ない場合は「お金についての勉強」をしましょう。
政府は近年「iDeCo(個人型)や企業型確定拠出年金」や「積み立てNISA」の利用を推奨してきています。
これはどういうことかというと、今後国民年金制度が立ち行かなくなる可能性が出てきているため自分たちで投資をして生活を成り立たせてくださいという背景があります。
つまりお金に関して「自分の身は自分で守って下さい」と暗に意味しています。
まずは自分の勤務している法人に確定拠出年金制度があるかどうか確認しましょう。
もし退職金も確定拠出年金もない場合は必ずiDeCoの利用を始めるべきです。すぐにでも始めましょう。
iDeCoは退職金を自分で積み立てていくものです。
毎月一定の金額を積み立て(掛金を拠出するという)、用意されている預金・保険・投資信託という金融商品で自分でお金を運用し、60歳以降に一時金または年金で受け取る仕組みをいいます。
ちなみにiDeCoは60歳になるまで引き出すことはできません。また、掛け金の上限があり企業型DCのない会社の会社員は月2.5万円、企業型DCのある会社の会社員は月2万円です。
iDeCoだけでなく「積み立てNISA」も便利な制度です。
簡単にいうと、毎年40万円(毎月に3万3千円)を最長20年にわたって投資し、得た利益部分を非課税にできるため長期の資産形成の助けになるというものです。
どちらの制度も資産運用して生活を豊かにできる制度であることは間違いありません。
私もどちらも利用しています。両方とも節税優遇されているので使っていきましょう。
特に退職金が少ない、あるいは退職金がない場合は活用していくべきです。
より詳しく制度について知りたいと思うようであれば、コチラを利用してみても良いと思います。
無料で講義動画を視聴できるコースがあるのでそれを聞くだけでも参考になります。
ただ最近はYOUTUBEでも無料で有益な情報を観ることができますのでそちらでも良いと思います。最近の動画はどれも質が高いですよ。
制度を知らない人や自信がない人は、休日など時間がある時に「お金の勉強」を開始して自己防衛していきましょう。
まとめ
解説してきたように大多数の理学療法士がもらえる退職金は一般企業に比べてかなり少ないです。
そもそも理学療法士は転職機会の多い職種ですから、同じ施設に長く勤める場合が少ないので必然的にもらえる退職金は少ない人が多いでしょう。
では、退職金が少ない人、もらえない人はどうしたら良いかという方法論は…
①退職金が多い職場に転職
②退職金がなくても給与が高い職場に転職
③お金について勉強をする
というものでした。
①と②に関しては「転職サイト」を使ったほうが確実です。むしろ使わないと情報を集めきれません。よく、募集要項に「退職金3年以上勤務」みたいな記載があると思うのですが、その計算方法などについての文言はありませんよね。
可能な範囲で詳細な情報を集めるためには業界を良く知っているプロのアドバイザーの協力を得たほうが確実です。
③についてはできるだけ早く勉強を開始していきましょう。
勉強については自分で本を買って勉強していくことも良いと思いますが、iDeCoや積み立てNISAを使い始めて出てきた疑問点をタイムリーに解消できない可能性があります。
そのようなことを避けるため専門家に質問できるような環境を作っておいても良いでしょう。
正直、お金の勉強は面倒ではありますが今から対策をしなければいずれ後悔する時がくるかもしれません。
とりわけ、資産を増やしていくためにはかなりの時間が必要になるため年齢が若いほど大きなお金を作り出すことができます。また、40代、50代から始める人もいますので時間がないといってあきらめることもありません。
「転職」も「お金の勉強」も気付いた時から1日を大事にしつつ、できるだけ早く取り組み始めることをオススメします。
少しずつ行動に移して余裕のある生活を目指していきましょう!
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